【SUMO利用ガイド9】Inspectモード編

1. Inspect(インスペクト)モードとは?

NETEDIT には、道路ネットワークを「見る」「編集する」ためのモードがいくつかあります。その中でも インスペクトモード(Inspect Mode) は、道路(エッジ)や交差点(ノード)をクリックして、属性(プロパティ)を確認・変更できるモードです。

ツールバーの「虫眼鏡+矢印」のアイコンを選ぶとインスペクトモードに切り替わります。


2. エッジをクリックしてプロパティを調べる

インスペクトモードで道路(エッジ)をクリックすると、右側に「プロパティパネル」が表示されます。
ここでは、エッジのさまざまな情報を確認できます。

左側に表示されたプロパティーは次の表のとおり設定を変更できます。

区分 項目説明
Internal attributesid識別番号
from / to起終点のノード番号
speed単位はm/sです。
<換算早見表>
30 km/h → 8.33
40 km/h → 11.11
50 km/h → 13.89
60 km/h → 16.67
70 km/h → 19.44
80 km/h → 22.22
90 km/h → 25.00
100 km/h → 27.78
priority道路の優先度。
交差点や経路探索に影響
numLanesレーン数(エッジ内の車線数)
片側3車線にする場合は3
右折レーンでレーンが付加される場合は1を加える
type道路種別(例:highway.secondary
、OSMタグに由来)
allow / disallow通行を許可する車両タイプ
通行を禁止するタイプ
<種類>
private:一般の自家用車。
emergency:緊急車両
authority:公的車両
army:軍用車両。
vip:要人専用車両。
pedestrian:歩行者。
passenger:乗用車
hov:高占有車両
taxi:タクシー。
bus:路線バス
coach:観光バス・長距離バス
delivery:配送車両
truck:大型トラック
trailer:牽引車両(トレーラー・セミトレーラー)
motorcycle:オートバイmoped:原付バイク
bicycle:自転車
evehicle:電気自動車
shapeエッジの座標リスト
length道路長(m)。shapeから自動計算されるが編集可
spreadType複数レーンをエッジの基準線に対してどう配置するかを指定する。
center → エッジの線を中心にレーンを左右対称に配置
right → エッジの線を右側境界として、そこから左にレーンを展開(右側通行の標準設定)
left → エッジの線を左側境界として、そこから右にレーンを展開
name道路名
widthレーン幅(defaultは3.2m)
国道幹線 → 3.25~3.5 m
市街地幹線道路 → 3.0 m
endOffset終端位置のオフセット調整
shapeStart / shapeEnd始点・終点形状の微調整用
bidiRail双方向鉄道エッジかどうか(鉄道専用)
distance補助的距離パラメータ(通常0)
stopOffsetエッジ終端の停止位置オフセット
stopOExceptionstopOffsetを適用しない車両タイプ
Parameters任意追加情報。通常の走行シミュレーションに直接は使われないが、現実の道路番号やカスタム情報を保持しているので、あとで分類や条件付けに活用できる
Netedit attributesMark as front elementチェックすると、そのエッジが 画面の一番手前に表示されるようになり、視認しやすくなります。
TemplatesSet edge as Template / Apply Template選んだエッジの属性をテンプレ化して他エッジに適用
Hierarchyjunction origin / destiny
edge / lane
Incomings / Outgoings
「道路(エッジ) → 車線(レーン) → 接続(In/Out)」という構造をツリー形式で確認できるビューです。

3. 複数選択と一括編集

  • クリック:1本だけ選択
  • Ctrl+クリック:複数選択 (追加された要素が青くなります。青くなった要素をもう一度Ctrl+クリックすると選択解除になります。トグル形式。)

👉 たとえば、、複数の道路を選んで speed を 11.11 に変更すれば、一括で「時速40km/h」に設定できます。現実的な道路規格に合わせると、シミュレーションの信頼性が高まります。


4. 他に Inspect できるもの:ノード(Junction)

エッジのほかに、交差点や端点(Node) もインスペクト可能です。
ただしプロパティ表示では 「Junction」 と表示されます。これは「Node」と同じものなので混乱しないようにしましょう。

ノードを Inspect すると確認できる主な属性は:

  • id:ノードの識別子
  • type:交差点の種類(priority=優先道路、traffic_light=信号、unregulated=無規制など)
  • 座標 (x, y):地図上の位置
  • tl:信号制御の有無(信号がある場合は信号IDが表示)

👉 まとめると:

Edge = 道路の情報を管理
Junction = 交差点の情報を管理
👉Inspect では両方を調べて編集できます。

5. まとめ

  • インスペクトモードは「道路を調べて編集する」基本機能
  • speed のデフォルトは m/s 単位(27.78 = 100 km/h)なので注意!
  • allow/disallow で通行規制を表現可能
  • spreadType / width でレーンの見え方や幅を調整できる
  • 複数選択を使えば効率的に一括編集できる
  • 「Node」と「Junction」という呼び方の違いに戸惑いやすいが、実際には同じ意味

次の記事では、不要な要素を消すための Delete モード を解説します。
Delete モードでは、ノード・エッジ・接続などを削除できますが、若干注意が必要です。

👉 便利だけれど強力すぎる Delete モード、その安全な使い方を詳しく見ていきましょう。

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