【交通量AIカウントラボ①】カメラを置く。数字が出る。

~ 映像だけで“秒単位×方向別”が手に入る~


交通量調査は、人海戦術と集中力と体力の持久戦です。人件費、精度など、様々な課題を抱えます。また、別の日と比べたい、天候を変えて確かめたい、交差点だけでなく直線部も見たい――と欲張るほど、時間も費用もふくらみます。

そこで役に立つのが、映像をそのまま数字に変えるAI交通量カウントです。本記事は、このAI交通量カウントの概要をお伝えできればと思います。

AIカウントとは何か

その仕組みですが、まず、交差点が広く映るように防犯カメラ等で撮影します。そして、そのカメラの映像をAI交通量カウントのソフトで読み込み、映っている車を自動で見つけ、同じ車を追いかけながら、どの方向に移動したか、秒単位の時刻と向きを記録します。出力は、直進・右折・左折など方向ごとに「何時何分何秒に通ったか」を並べた表。これを積み上げて累積すると、人が数えた調査と同様のデータが取得できます。

手作業と何が違うか

最大の違いは細かさ揺れの少なさです。秒単位で通過が記録されるので、数十秒の“瞬間的な混み”も見逃しません。向きの判定は事前に置いた線で機械的に行うため、担当者が変わっても基準がぶれません。映像さえ残しておけば、設定を調整してやり直すこともできます。カメラアングルを固定しておけば、別の日・別の天気・別の交通状況など、同条件で解析することができ、人で何日も計測すること比べて、人件費や人による個人差などの問題を解決することができます。

何が分かるのか

直線部なら単純で、いつ車が通ったかを秒単位で記録することが出来ます。1時間の合計をすることで、1時間当たり交通量が算出できます。SUMOでさらに一時的なピークを再現したい場合などは15分間の合計を行い、15分あたり交通量を求めることもできます。

交差点であれば、さらに複雑な調査が可能になります。現示(青・黄・赤)ごとで集計することで、青一回で実際に何台処理できたか、無駄青時間はないか、交通量の方向別の偏りはどうかなど。

どちらにしても、わかることは格段に多くなります。

技術の裏側を少しだけ

専門用語は最小限にしますが、背景を知ると納得が早いので一言だけ。(道路ラボで開発したソフトの話にはなりますが、、、)映像の中の車を見つける役がYOLO、同じ車を見失わないように追いかける役がDeepSORTという仕組みです。

YOLO(You Only Look Once)は、ディープラーニングを用いた物体検出アルゴリズムの一つです。ディープラーニングでは大量の画像を学習し、車の形状や特徴的なパターンを自動的に抽出することで「車らしさ」を認識できるようになります。

Ultralytics YOLO Vision イベントバナー
出典:Ultralytics公式サイト

DeepSORTは、「同じ車や人を追跡し続ける」ために使われる技術です。YOLOは映像の各フレームごとに物体を見つけますが、「これは前のフレームと同じ車か?」を判断することはできません。DeepSORTは見た目の同一性と、これまでの動きを基にした移動予測を組み合わせ、フレームをまたいでも、さらに、途中何かに隠れて数フレームの間、車を見失っても個体を識別します。これにより、認識した車がどのように動いているかを判断していきます

たぶん、この二つの技術がAIカウントと呼ばれる所以なのでしょう。

使い道が広がる理由

出力は容量の少ない数値データなので、表計算ソフトでグラフ化出来るのと同時に、やはり、この道路ラボでの使い道は、、SUMOの入力値とすることです。

SUMOに入れて精度の高い現況再現を行い、さまざまな仮想でのシミュレーションをおこなうことが出来ます。信号配分の見直し、左折可の検討、RCUTやラウンドアバウトの比較まで、信頼性のある効果検証を行うことが出来ます。

カメラを設置すれば、現場の動きがそのまま数字になる。――興味が湧いてきましたでしょうか?

次回からは少しずつ技術紹介を行っていきます。専門性が高いのでわかりやすく紹介できるように心がけます。引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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